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受講者インタビュー:板垣真太郎 さん


Profile : Google Cloud Japan のカスタマーエンジニアとして、顧客への価値提案や技術支援を担当。すべてのエネルギーをお客様への価値提供に注げるプロポーザルマネジメントの知識を、自身の業務やキャリア形成にプラスに活用中。


――本日はお忙しい中お時間を割いていただきありがとうございます。早速ですが、普段、お仕事ではどんなことをされているのかお伺いしたいと思います。

 

プリセールスの組織で、お客様が Google Cloud を活用してビジネスを加速するための価値提案をしています。営業と対になって行動し、お客様がビジネス価値を実現するための技術的な支援をしています。

 

 

――現在はどのような提案活動に携わっているのですか?

 

Google Cloudを活用したデータ分析、機械学習やITインフラのモダナイゼーション、アプリケーションのモダナイゼーション、デジタルトランスフォーメーションなどのご提案をしています。モダナイゼーションとは、稼働中の古い技術で作られたIT資産について、その資産を活かしながら新たな業務や技術の変化などに対応しやすいシステムにしていくことです。

提案期間は案件にもよりますが1週間程度の短いものが多く、担当顧客も多いです。初回でバリューをお話しして具体的な案件になり、ピッチで提案するため、提案書の書式やプレゼンもかっちりした形式ではない提案活動を主に行っています。

 

 

――プロポーザルマネジメント®を知ったきっかけを教えてください。

 

前職で官公庁向けのシステムエンジニアをしていたときに、雑誌(日経システムズ)で代表の式町さんの記事を読んだのがきっかけです。

その日は官公庁向けのシステム提案を徹夜で作った直後でした。ようやく一息つけるとコーヒーを飲みながら日経システムズを読んでいたら式町さんの「徹夜で書いた提案書では負ける」というタイトルの記事を発見し、ムカっときて、記事に紹介されていた式町さん主催のプロポーザルマネジメント®の勉強会に参加したのが始まりでした。

 

 

――そうでしたよね。なつかしいですね。

 

「どんなやつか顔が見てやろう!」と思って参加してみたら、全然違う印象で拍子抜けしました(笑)もっとバリバリしているかと思っていました。

 

 

――それ以来、勉強会に参加いただいていましたが、その時は、どうして継続したのですか?何か提案に関するお悩みを抱えていたのですか?

 

官公庁向けの提案書は数百ページに及ぶ大部なものが多く、とにかく時間がかかっていました。提案書作成に1ヶ月くらいかかり、提案書執筆の終盤には徹夜が続くということもよくありました。また、システムエンジニアは、システムの設計書を執筆するのには慣れていますが、提案書を執筆することには不慣れな人が多くいます。このような提案書作成のスキルも経験もバラバラの人たちが集まってチームとなり、複数人で分担して執筆するため、自分たちの持つ技術力に比べて、提案書が見劣りすることもしばしばありました。実際にお客様から「御社のサービスは信頼できるものなのに提案書では見劣りする」と言われたこともあります。

 

 

――プロポーザルマネジメント®を知った後には、どのような取り組みをされたのですか?

 

まず、式町さんが主催している勉強会に参加しました。勉強会に何度か参加した後、みんなでアメリカから APMP Proposal Guideの書籍を買おうという話になって、書籍を購入しました。その後は、その本を自分でも読みながら、式町さんの勉強会にも継続して参加し、社内でも自分で勉強会を立ち上げて学習をしていきました。

 

 

――プロポーザルマネジメント®を実践してどのような成果がありましたか?

 

体系だった知識に基づいて、チームのメンバーに提案のベストプラクティスをきちんと伝えられるようになったこと、そのための準備をスムーズにできるようになったことです。提案活動をする中でなんとなくこうではないかと思っていたことを言語化でき、それを共通言語にすることで、提案チーム全体をコーディネートできるようになりました。その結果、効率的に提案活動ができ、提案の品質も向上できました。大きな提案でも毎日定時に帰宅でき、高い技術点で提案を勝ち取ることができるようになりました。

 

 

――プロポーザルマネジメント®を実践するベネフィットは一言で言うと何でしょうか?

 

すべてのエネルギーをお客様の価値に集中できることです。提案活動が大変という背景には、提案書を作り上げる過程に生じる社内外の関係者とのコミュニケーションや細かなドキュメンテーションなどの付帯作業があり、お客様の価値を考える時間よりも付帯作業の時間が多くなりがちです。その付帯作業をできる限り効率化して、お客様の価値を考えることに時間を使えることが一番のベネフィットだと思います。これは、提案する側にとっても、提案される側にとってもベネフィットだと思います。

 

 

――プロポーザルマネジメント®はどのような組織に必要だと思いますか?おすすめする理由を教えてください。

 

I T関係や建築関係など、お客様ごとに個別のソリューションを組み立てて提案する必要がある組織に必要だと思います。おすすめする理由は、さきほどのベネフィットで、すべてのエネルギーをお客様の価値に集中できるためです。反対に、量販店のような同じ物を多くのお客様に大量に販売するような組織には適さないかもしれませんね。

 

 

――プロポーザルマネジメント®に関して、今後どのように展開していきたいですか?

 

現在は前職とは異なり、きっちりとしたRFPがあって、大部の提案書を提出するということはほとんどありません。そのため、プロポーザルマネジメント®のライフサイクルの上流の部分をもっと学び、それを今の活動に活かしていきたいと思っています。

また、IT技術に関してはオープンソースで世界最先端のものを誰でも学べるのに、よくできている提案書から学び合うことはできないという点は日本の提案活動の課題だと思うため、そこをなんとかできたらと思っています。提案する側だけでなく発注する側にもプロポーザルマネジメント®を広めていけると良いのかもしれないです。

 

――本日はありがとうございました。